八雁短歌会

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喜多昭夫歌集『いとしい一日』自選十首

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自選十首
はじめてのひとり暮らしで知りましたブロッコリーは冬の野菜だ
アボカドの濃すぎる緑とパプリカの黄に紗をかけているレジ袋
吾が妻のかんしゃく玉はあかあかと燃えさかりつつ迫り来る見ゆ
てーぶるを或る朝見ればしなしなとコロセウムに(へん)()してゆくあはれ
妻からの手紙「かきつばたがきれい。ふだんの力をおだしなさいな」
はつものの梨の歯ざわり 湧き水のようにはじまる秋の一日は
そこにある梨とガラスと人の影 それらがみんないとしい一日
大声で呼べどもは建は振りむかず夢と知りつつかなしかりけり
わかくさの君は糟糠の妻となり春の夕べに菜を洗いおり
わが一生なにほどのことはなけれども智紀と結哉に出会えてよかりき

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