八雁短歌会

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田和明歌集『オイラーの等式』自選十首

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自選十首

山窩なるわが遺伝子の疼けるや緑ふかまる里山見れば
イチジクを食べてはならぬとは知れどイチジクの香に我をわするる
「教えるとはともに夢を語ること」教壇に立つわれのいましめ
若者のシュプレヒコールに唱和せりわれは二十歳のわれに還りて
飛び込んで酒を浴びたし蒸し米の香の満ち満つるもろみの桶に
オイラーの等式e+1=0のごとし白砂に椿いちりん置かるる見れば
丸くなれ大人になれと言われつつ五十年過ぐああ年寄りだ
開墾の畑に繁る杉菜らを根ごと抜き取るこの(いくさ)は好き
骨壺の骨押しこめば狭いとこ俺は嫌だとはみだしにけり
またひとり彼岸へ逝けり七十五歳(ななじゅうご)超えたばかりの遊びざかりに

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